高性能住宅は、気密・断熱・換気の考え方に一貫性、相互性があります。
「とにかく良い断熱材だから、気密と換気は考えなくても大丈夫!」
ってそんなわけありません(+_+)
気密・断熱・換気は三位一体となってはじめてその効果が最大限に発揮されます。
≪断熱とは≫
断熱とは外部との熱の出入りを遮ることです。住宅では断熱材を使用して外部との熱の出入りを遮ります。断熱材には様々な種類があります。
断熱材の種類(大分類) | 断熱材の種類(小分類) | 熱伝導率(W/㎡・k) |
繊維系断熱材 | グラスウール(10㎏) | 0.050 |
繊維系断熱材 | グラスウール(32㎏) | 0.036 |
繊維系断熱材 | ロックウール | 0.038 |
繊維系断熱材 | セルローズファイバー | 0.040 |
繊維系断熱材 | インシュレーションボード | 0.052 |
発泡プラスチック系断熱材 | ビーズ法ポリスチレンフォーム(4号) | 0.041 |
発泡プラスチック系断熱材 | 押出法ポリスチレンフォーム(1種) | 0.040 |
発泡プラスチック系断熱材 | 硬質ウレタンフォーム(1種) | 0.029 |
発泡プラスチック系断熱材 | ポリエチレンフォーム | 0.042 |
発泡プラスチック系断熱材 | フェノールフォーム | 0.020 |
その他 | 木材 | 0.130 |
その他 | 鉄筋コンクリート | 2.300 |
その他 | アルミニウム | 200.000 |
上記は各種断熱材と熱伝導率をあらわした表です。
木材、コンクリート、アルミは参考までに。
【熱伝導率について】
厚さ1メートル、面積1㎡の断熱材を隔てて、その両側に1℃の温度差があるとしたときに、1秒間にどれくらいの熱量が移動するかを表す数値です。
この数値が小さいほど、熱の移動は少なく性能が良いということになります。

炭化コルクと硬質ウレタンフォームを
一体化した複合断熱パネル
【画像:ジョイコス】
「ジョイコスパネル」は硬質発泡ウレタンでできており熱伝導率=0.025W/㎡Kと断熱性能が高く水や水蒸気を透過させない構造となっています。
このウレタンを壁では75~120mm厚、床では105mm厚に注入加工しており、炭化コルクと硬質ウレタンフォームを一体化した複合断熱パネルです。
≪気密とは≫
気密とは住宅の隙間を減らし、密閉化させることです。「密閉化」と聞くと、なんか息苦しい・・・と感じませんか?
ところが、この密閉化=気密はとても重要です。
住宅に隙間があると、せっかくお金をかけて冷暖房した空気を無駄に逃がしてしまいます。
真夏に窓を全開にしてエアコンでキンキンに冷房しようと思ってみても、かなり効率が悪いことは想像に難しくないと思います。
低気密の家では、目に見えて窓が開いていないのに、家のあらゆる隙間を合わせていくと、小さい窓くらいの隙間があったりするんです。加えてやっかいなことに、その隙間は、窓と違って自由に開け閉めできません。
たれ流しですね。。。

気密は重要
(画像:ジョイコス)
綿密に計算して計画した換気計画も、計画の通りに実行できなくなってしまいます。
計画した空気がきちんと給気口から入って、計画通りのルートを通って排気口から排気されることが理想です。もしも気密が悪いと、意図していない隙間から空気が入ってくるので、計画的な換気ができません。
気密レベルが
2.0c㎡/㎡の場合で、給気口から63.3%の空気が入り、その他の隙間から36.7%の空気が入ります。
0.5c㎡/㎡の場合で、給気口から87.3%、の空気が入り、その他の隙間から12.7%の空気が入ります。
0.1c㎡/㎡で給気口から97.2%の空気が入り、その他の隙間からはわずか2.8%の空気しか入りません。

気密が良いとコントロール可能
気密しだいで換気効率が格段にかわります。
計画通りの換気ができると、光熱費が改善されるのはもちろんですが、そもそも本来の換気の目的である、室内で発生した水蒸気や汚れた空気をきちんと新鮮な空気と交換することが可能となります。

結露は百害あって一利なし
計画通りできないと、排出できなかった水蒸気が温度差のある所へ寄っていき結露し、ダニやカビの原因となり、健康を害してしまいます。
健康で快適な生活を送るためにも換気は重要な要素と言えますね。
≪換気とは≫
換気とは空気を入れ替える事。
日本の住宅では2003年の建築基準法の改正で導入が義務化されました。

24時間換気
そもそもなぜ換気が必要なのか?
それは、今の日本の住宅は「自然換気」ができないから。

昔は高気密ではなかった
昔の住宅は天然素材がたくさん使用され自然に呼吸できていたし、今ほど高気密化していなかったことがあげられます。
しかし、今の日本の住宅は、化学物質が含まれた建材や石油ストーブなどの室内に排気する暖房器具が普及したことや、高気密化してきたことから「換気」が必要となり、義務化されました。
「天然素材」だけを使用し、室内に排気する暖房器具を使わなければ必要ないじゃないのか?

一日3リットルの水分
そう思う方もいるかと思いますが、人間は生活している中で静止した状態でも常に皮膚から1時間あたり約30㎖、夏を想定すると、丸一日、家の中で生活をした時には1日あたり約3ℓの汗をかくことにより多くの水蒸気を放出しています。
現在のように高気密化した住宅では、住宅の中で発生した水蒸気を換気によって排出してあげることが重要です。
では、逆の発想で、いっその事、低気密の家を意図的に作ればよいのでは??
そうすれば、隙間から水蒸気も逃げていくし、結露もしにくいのでは???

ムダな光熱費
でも、冷静に考えてみて、せっかくお金をかけてお部屋を暖めたり、冷やしたりしているのに、意図せずにそれが無駄になるのはもったいないな~って思います。
それよりは、高気密な家を建てて、意図的に、自分の意志で、コントロールする方が理想です。
コントロールできる状態とコントロールできずにダダ漏れの状態は雲泥の差です!
また、換気には3つの種類があり、それぞれに特性があります。

出典:Panasonicより
1種換気
給気と排気の両方を機械で強制的におこなう方式。
メリット:外気に影響されない。熱交換をおこなうことができるので、温度のロスが少ない。
デメリット:初期費用が高額。
※熱交換は、給気口から入って来る外の冷たい空気を熱交換器を設置することで室温に近くし、冷暖房の負荷も軽減できる。全熱(温度+湿度)を交換するタイプと顕熱(温度のみ)を交換するタイプがある。
2種換気
給気は機械、排気は排気口で行う。機会給気で空気を取り込む方式。
メリット:室内の環境を正常に保つことができる。
デメリット:外気温の影響をすごく受ける。
3種換気
給気は給気口、排気を機械でおこなう。機械排気で空気をはきだす方式。
メリット:湿気を排出しやすい
デメリット:外気の空気環境の影響を受ける。
それぞれに、メリット、デメリットがありますが、一般住宅に採用されるのは1種と3種です。

緻密な計画換気が可能【出典:ジョイコス】
≪高気密高断熱の現実≫
家を建てる時、家の性能について調べていてよく耳にする「高気密高断熱」
実はあまり知られてはいませんが、どこからが高気密で、どこからが高断熱という定義はありません。建築基準法などでも明確に定義されているものではないということです。
それはつまり、どういう事かと言うと、
建てている側の工務店やハウスメーカーが高気密高断熱と言えば、そうなる。。。
さらに言えば、「高気密」と謳っていても、「気密検査」をしていないケースも実際にはあります。

蓋の空いた魔法瓶
いかに高断熱の断熱材を充填していても、気密が不十分では意味を成しません。魔法瓶の水筒にお湯を注いで、フタを開けているようなものです(^^;)
1999年に「次世代省エネ基準」が創設されました。
日本全体で考えた時、地域ごとに必要であろう断熱性能が違うため、Ⅰ~Ⅵの6地域に分類し、それぞれの基準が設けられました。
この時に岩手県はⅡ地域に分類され、C値2.0c㎡/㎡以下、Q値1.9W/㎡・k以下と目標値を定められました。(測定の義務等はありません。)
その後、2013年に「改正省エネ基準」が発表されましたが、防露性能を確保する旨の明記はあるものの、気密の基準や文字は削除されてしまいました。
そして現在に至っても気密の基準は設定されていません。

気密測定で明確な数字が出る
ジョイコス住宅システムでは、全棟で中間と最終の2回、気密測定を行っています。さらに、独自にルールを設けていて、C値0.5c㎡/㎡以上は再施工としています。
一般的には、まだまだ気密測定もしていない工務店やハウスメーカーも多い中、全棟気密測定、そして独自ルールによる厳格な数値へのこだわりが、ジョイコスが「床暖房のいらない家」を実現している所以でもあると思います。
≪換気の重要性≫
換気工事の予算は20万円~100万円ほど。予算にだいぶ開きがありますが、換気の方式等によって変わってきます。

家族で過ごす家の空気
家族が大半の時間を過ごす「住宅」の空気環境ですが、施工方法や換気方法でだいぶ違ったものになります。
住宅の中では様々なものに起因してたくさんの水蒸気が発生します。
①人・・・・静止した状態でも1時間に約30㎖
②ストーブ・ファンヒーターで1時間に約200㎖
③調理・・・1日あたり約1500㎖
④お風呂・・1日あたり約1000㎖
⑤洗濯物・・1日あたり約2500㎖
その他でも色々なものに起因して水蒸気は発生します。

水蒸気・結露
では水蒸気が発生すると、何がそんなに問題なのかというとアレルギーや喘息の一因でもある、「カビ」や「ダニ」が好むのが「結露」だからです。
結露は水蒸気を含んだ暖かい空気が、温度の低い部分に触れることで起こります。特に温度の下がりやすいコーナー部分や家具の裏、そして人が普段使っていない部屋などは要注意です。
結露はカビやダニの発生原因ともなりますし、そのカビの胞子やダニの死骸などは喘息やアレルギーの一因とされており、人の健康を害す要因となります。
それらのリスクを回避する手段として必要不可欠なのが換気です。換気計画を立て、それを十分に発揮できるよう気密工事をした住宅で、健康で快適な生活を送りたいものですね。

人が一番摂取しているのは空気
人間が生涯で一番摂取するのは「空気」。
一番多く体に取り込むものだからこそ、重要視したいポイントですね。