暖かい家がほしい床暖房は必要?なくても暖かくなる~本当はどっち

一生に一回の住宅建築はわからないことだらけ一番の希望は暖かい家、家族が安心して冬でも過ごせる家が欲しいけど床暖房はちょっと不安もある。設備が大掛かりになりそうだしどれくらい設備費がかかるのか、メンテナンスやランニングコスト、機械の寿命はどれくらいなのか、床だけ暖かいと家具やカーペットはどうなのか、子供がまだ小さいので床だけ暖かいってどうなのか、あれこれ考えるとわからなくなってしまいます。

床暖房のいらない家

そもそも床暖房って?

そもそも日本での床暖房っていつごろから普及したのかちょっと調べてみると、最初は電気式で路面凍結の防止(ロードヒーティング)や施設向けから始まって、1990年ごろから大手ガス会社が温水式をPRし一般家庭に使われ始めたそうです。

床暖房のイメージは床から暖かくなってポカポカして足元の冷たさが解消されることと、温まった熱は上昇してお部屋の上の方や2階まで暖かくなるそんなイメージではないでしょうか、また家の中に暖房器がないから家具が自由におけるなどメリットもあります。
床暖房確は確かにあたたかくなりそうだけどその設備はあまり知られていないのではないでしょうか

 

 

今では床暖房の設備を売りにする住宅メーカーや床暖房システム(ヒートポンプ式、フロア一体型、熱源機など)もいろいろあります。今住んでいる家の床が冷たいのでリフォームで床暖房にするケースなどでは便利な設備だと思いますが新築で必ずしも床暖房がベストな選択なのか次の項目で考えてみます。

床暖房の種類と仕組み

熱源機の種類(不凍液や水を温めるための機械)は3種類

灯油式、ガス式、ヒートポンプ式(電気)

この熱源機は住宅の外にあってここで床暖房に送る不凍液や温水を温めるための機械です。

ヒートポンプ式の室外機

 

灯油式は別途灯油タンクが必要

ガスも都市ガスなどの接続が必要

 

又ガスとヒートポンプを組み合わせたハイブリットタイプもあり暖房の立ち上がり時をガスで(高い温度の送水ができる)安定したらヒートポンプで熱をつくる仕組みなどもあります。

 

いづれも床暖房に送る不凍液に熱を移して床暖房パネルに送り、又熱源機に戻しこれを循環する仕組みです。

 

ヒートポンプ式はエコキュートやエアコンの室外機と仕組みは同じで、深夜電気を使えるメリットがあり比較的電気料金は安定しています。

灯油やガスは輸入価格に影響されやすいデメリットがあり、灯油は配達などの煩わしさがあります。

床暖房パネル

板状のパネルに架橋ポリエチレンのパイプを組み込むものです、6畳、8畳用、12畳用として付属部材がセットになっていて、直接仕上げのフロア材などを温めるので、床暖房用のフロアや畳を選択しなければいけません当然ムク材などは痩せや反りが発生するからです。

その他、熱源機と床暖房パネルとをつなぐヘッターボックスが付きます、これは各部屋の床暖房パネルに不凍液を分配するためにあり室内に設置するものです、熱源機+ヘッターボックス+床暖房パネルそしてこれらをつなぐパイプや継手などの部品で構成されているのが床暖房設備なのです。

床暖房はその名の通り床材の下に温めたお湯(不凍液)をパイプに通して回す仕組みです
パイプに流れる不凍液の温度がそのまま床材を温め家全体を温めます。ですから家の中にはこのパイプは見えないので家具などは自由におけるのです。
今の床暖房はシステム化されお部屋の大きさに合わせてこのパイプを敷きこむように一枚一枚パネルにパイプを組み込んだものになっています。ですから部屋を限定して敷きこんだり、家全体に敷きこんだり自由にできるようです。
普段いる部屋だけに入れるのか、家全体に入れるのかでは設備費用にも関係するし全体に入れないと床暖房で暖かい部屋からローカに出たら
温度差を感じることもありそうです。

 

■価格

1階に8畳、12畳、キッチン2.5畳に床暖房設備一式をいれる場合、約710,000円(メーカーカタログより)

これに施工費がはいりますからけっして安い設備ではありません。

単純に710,000円÷22.5畳=1畳あたり31,500円となります。

今住んでいる家の床が冷たいのでリフォームで床暖房にするケースなどでは便利な設備だと思いますが

新築で必ずしも床暖房がベストな選択なのか次の項目で考えてみます。

 

床暖房おすすめするメリット・デメリット(住宅会社目線)

 

もし私が住宅販売会社の営業だとしてこの床暖房のメリットとデメリットを考えてみました。

 

おすすめするメリット

  1. 暖房器が隠蔽されているのでお部屋のインテリアのじゃまをしない。
  2. 今住んでいる家の床が冷たいから床暖房がいい
  3. 風が出ない音もしない、輻射暖房であったか
  4. なにか贅沢感、高級感がある

デメリット(こんな時どうする)後悔する理由

  1. 故障時の費用、熱源機の寿命は10年が目安、灯油やガス式とヒートポンプ式では送水温度が異なるため交換する場合は同じ熱源を選ばないと同じ暖房感が得られないことがある。過去に床暖房を設置してこの熱源機の交換が一番の問題。(メーカーによっては灯油やガス式の生産をすでにやめている。)
  2. 不凍液の補充やメンテナンス、いつやればいいのか、どこに依頼する
  3. カーペットは床暖房対応品?

4. 住宅性能が低い場合電気代が高く暖まらない断熱材の上に床暖房パネルがのりますので断熱材が薄かったりすき間があれば熱は床下にもモレれていきます。

 

いいことだけ言えばおすすめするメリットとしては1.2.3.は共感できるし、今住んでいる「家の床が冷たい」は古い家はほとんどですよね。

これはいいなとなって、営業マンとしてはとてもオススメしたい設備となりますし

お客様の共感も得られるわけですが

意外に知られてないのがカーペット。

厚手のものは床の熱を部屋に伝えにくくなるのでせっかくの輻射熱がふたをされてしまうということです。

そう考えるとソファーやベッドも床に密着させず足つきで、床から離れているものを選ばなければなりませんからインテリアに制限があります。

そのあとの故障時やメンテナンスについてはあまり考えないものですよね。

どんな設備でも故障やメンテナンスは付き物ですが、床暖房で床下に不凍液を回す仕組みの場合、パイプが埋設されている点が長期で使用している間に不凍液のモレや故障、あるいは交換となると費用は莫大にかかります。

 

床暖房を設置して10年後にはつかわなくなる理由としてよくある事例です。

 

住宅の設備は家づくりの中では何を選択したらいいのか難しい部分だと思います。住宅会社に都合がいいものとか、施工者が使いやすいものが売れていたりするのがこの業界ではよくあることです。

だいたいどんな設備でも10年を境に故障や不具合がでるものです。

こわれたら交換、修理できる設備、設置方法を新築時から考えておくとあとから後悔しないことになります。

 

そもそも高性能をうたうのであれば必要のない床暖房

 

今では高気密・高断熱をうたう住宅会社は沢山ありますね、今住んでいる家が寒い、特に床が冷たいというお悩みに対して床暖房は願ったり叶ったりの設備なんですが、でもここでよーく考えてみて欲しいのです気密や断熱が高い住宅は床暖房にたよらなくても、エアコンやパネルヒーターでも十分暖かく床も素足ですごせるほどになります。

 

 

工場見学

床暖房がいらない家の体感見学会

 

なぜそうなるか?という疑問がわいてきますよね、

 

よくある現象で暖房すると部屋の天井付近はあたたかいのに、足元がスースーして寒い、温まった空気は気圧が高く相対的に上昇しようとします、その時スキマがあると冷たい外気が入ってくる

 

スキマが多いとこの現象が起こります、温まった空気はまたスキマから逃げてしまい一向に温まるヒマがありません。

むしろ床暖房はこうしたスキ間だらけの低気密の家にはピッタリかもしれません。

気密の目的1

 

断熱材は言い換えると保温材、その断熱の性能を担保するのが気密の役割なのです。

どんな暖房を使うかの前に大事なのは気密と断熱のしっかりした家を作るほうがよっぽど大事なことです。

後悔しない暖かい家づくりに必要な3つの数値

実は高気密・高断熱に定義はありません。

どこからが高気密で高断熱なのかその線引きはありません

 

しかし暖かい家を建てたいとおもっているならこの言葉をおぼえてください

後悔しないために知っておくべき3つの性能値です!

 

Q値  家の総合的な住宅性能を表す数値 数値が小さいほどエネルギーの消費が少ない(計算値)

UA 家の断熱材の平均熱貫流率 数値が小さいほど断熱性能に優れている(計算値)

C値  家のスキ間の大きさを表す 数値が小さいほど家のスキ間が少ない(唯一機械で測定できる)

 

Q値もUA値も優れていても最後のC値を測定していないとその性能は担保されないといっていいでしょう

スキ間だらけの家ではどんなに高断熱でも意味がないのです。

 

その住宅、Q値計算は表示されていますか?

どんな暖房機であれ、これから建築する家の暖房機の大きさはどれくらいあればいいのか、高気密・高断熱住宅をたてようとするなら知っておいてほしい数字です。何がわかるかというと!

Q値がわかればその住宅の暖房設備容量がわかります。

 

暖房設備容量W=Q値(W/m2K)×延床面積(m2)×計画温度差℃(K)

 

このQ値から暖房設備容量を求める場合、注目して欲しいのは計画温度差なのです実際に建築する地域の最低気温と設定する室温の温度差です。

最低気温を-10℃その時の室温を22℃とすると計画温度差は32℃となり暖房設備容量を決める際の根拠となります。

ここで問題です、Q値をつかって暖房機の大きさを求めてみましょう。

Q値 1.6w/m2k(ジョイ・コスの平均値)×99.37m2(30坪の家の延べ床面積)計画温度差×32℃5087.7W

つまり 約5.0KWの熱を出す暖房機が最低でも必要だという答えです。

エアコンで言えば14畳タイプということになります。

しかしここには落とし穴が

この答えにはスキ間がないということが前提です!

断熱材や窓、換気から逃げる熱は計算されていても、スキ間からモレる熱は計算されていません!

だから気密測定をやってどこにどれくらいのすき間があるのかを測定し確かめるのです!

 

気密は重要です!

 

気密測定

完成時におこなう気密測定の様子

高気密・高断熱住宅では気密試験を行い住宅の性能をあきらかにする

 

気密測定をしていればC値(隙間相当面積)という数値が出てきます。この数値は住宅会社によって基準値が違いますがスキ間は出来るだけ少ないほうが断熱の効果があがり保温力が良くなります。

ジョイ・コス住宅システムのC値の基準は0.5cm2/m2以下としています。

この基準値以下だとほぼ床と天井の温度差はなくなり、床暖房のいらない家になります。

要はスキ間から熱が逃げているのです。床暖房は床下に不凍液のパイピングと断熱材がある構造ですから断熱材が薄かったり、スキ間があれば熱はどんどん床下に逃げていくでしょう。

気密の目的3

高気密・高断熱といってもQ値の計算や気密測定をしていなければ根拠のない家になってしまいます。

一生に1回人生の中でも最大のイベントといっていい家づくりを後悔しないためにも、よく勉強して暖かい家を建てましょう!

 

 

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