その1では熱交換換気が回収できる熱量を第3種換気の熱ロスと比較してそのメリットを説明してきました。その2ではスキ間がどれだけ熱交換換気の熱効率に影響するかを説明して行きます。
熱交換換気の是非を問う その2
スキ間からの漏気量(温度差と風力差)と換気熱ロスから熱交換効率を計算してみた。
条件)室温20℃ 外気温-5℃ 風速4m/秒(冬の平均風速)換気回数0.5回/時 換気量158.3m3/時
C値 | スキ間風と換気ロスの合計 | 実質熱交換効率 |
0.1cm2/m2 | 51.2+277=328.2W | 76% |
0.5cm2/m2 | 256+277=533W | 62% |
1.0cm2/m2 | 512+277=789W | 43% |
2.0cm2/m2 | 1025+277=1302W | 6.1% |
5.0cm2/m2 | 2556+277=2833W | 0% |
計算例)C=0.5cm2/m2の場合
漏気熱ロス=29.27m3/時×0.35Wh/m3K×(20℃-(-5℃))=256W
※第3種では、換気熱ロス1386W+漏気熱ロス256W=1642Wを実質捨てることになります。
※第1種では(熱交換効率80%として)換気熱ロス1386W×20%=277Wですから、漏気熱ロスを加えると
277W+256W=533W
を実質捨てることになり、機械換気+漏気による実質熱交換率を計算すると
100%-(533W÷1386W×100)=62%となります。
考察
難しい計算になりましたが、なぜジョイ・コスではC=0.5cm2/m2以下を基準に決めたか?!
0.5cm2/m2でかろうじて熱交換効率が62%をクリアーできるレベル!!ということからも理解できます。
つまり0.5cm2/m2を超えると熱交換効率は50%を切ってしまい、第1種熱交換型を採用する意味がなくなります。
カタログ上の熱交換効率(熱回収率)はスキ間から出入りする空気は考慮されていない。
※第1種熱交換型を採用するならC=0.1cm2/m2を出してから胸を張って採用しましょう。
<注意>同じスキ間でも温度差が大きくなる、風力が強くなると、熱交換効率は更に悪くなります。
逆に温度差が小さく風力が弱くなるとその逆の現象となります。
結論
ジョイ・コスの会員の皆さんはC=0.1cm2/m2を出せるウデを持っています。安易に熱交に頼らずコストも安くメンテも簡単な第3種換気を徹底的に使いこなしてから第1種の能力を最大限に利用されたらいかがでしょうか!!
一般的な第1種熱交換型換気システムの仕組み!
給気側と排気側で二個のモーターを使い24時間365日稼働し外20℃室内20℃の時も、外-5℃室内20℃の時も、熱交換のしくみが働いていることになる。
よって冬はどこのエリアも内外の温度差が大きく頻繁に熱交換運転をすることになりますが、仮に内外の温度差が5℃~10℃で熱交換してもそれ程のメリットはないと考えるべきと思います。
3種に比べ1種はメンテに手間がかかる上、常に本体内のカビの発生に注意が必要になる。
良く耳にする話で、東北ほど寒くないからむしろ夏の対策が必要だと言いながら、その割に断熱材も適当にしておきながら、換気だけは第3種より第1種だと言う神話が根強く残っています。
ホントに南のエリアで熱交換を必要とするのでしょうか?冬、外気温5℃室温22℃で17℃の差、夏は外気温32℃室内27℃にして温度差が小さい程熱回収も微々たるものになりはしないだろうか?!
文 システム開発者 佐藤益夫
画像提供 ガデリウス・インダストリー株式会社